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a.換価の方針(少額の財産)


少額の財産を換価するか放棄するかは、次のような事情を総合的に考慮します。

最初に、換価によってどの程度の財団の増殖が見込めるかです。
これは、財産の価額だけではなく、相手方の資力や、訴訟になった場合の勝訴可能性なども考慮します。

次に、換価にどれぐらいの時間がかかるかです。
他の財産の換価に要する時間を併せて考えます。
つまり、当該財産の換価に相当程度の時間がかかるとしても、必ず換価しなければならない財産の換価にそれ以上の時間を要するのであれば、当該財産は換価する方向でのベクトルが働きます。

さらに、配当可能性も検討材料となります。
時間を要して換価しても、結局管財人報酬に潰えるのであれば、あまり換価に拘泥する必要はないでしょう。
債権者としても、債権管理のコストを考えると、配当がないのであれば早期に破産手続が終結することにメリットを見いこともあるからです。

具体例で見てみましょう。
例えば、額面が1万円の売掛金があるとします。
相手方が任意で支払わない場合、訴訟を検討しますが、注文書や納品書・請求書の控え、帳簿などもないときには、訴訟維持が困難なこともあります。
また、そのような事情がなくとも、相手方も既に事業を停止しており、財産もわからなければ、判決を得たとしても強制執行で回収することは難しいでしょう。

このような場合に、財団が予納金の20万円しかなく、他に換価可能な財産がなければ、時間をかけて仮に回収に成功したとしても、管財人報酬が増えるだけです。
それよりも、売掛金を放棄して早期に異時廃止とすることの方が、総債権者の利益に合致するでしょう。

他方、上記のような事情があったとしても、他にたくさんの売掛金があって、訴訟提起が必要であれば、これらと併せて提訴することも検討します。
判決を得ても結局回収できないかも知れませんが、ときには判決後に任意の支払を受けることもありますし、また、判決を得ても(場合によっては強制執行を試みても)回収できなかった、ということが放棄までに管財人として再選を尽くしたという証拠となり得るからです。