初めての法人破産申立(12)

破産会社に所有権留保されている物件がある場合はどうすべきでしょうか。
所有権留保売買の留保売主の権利は別除権であると考えるのが、実務上の一般的な考え方ですので、基本的な考え方はリース物件と同様です。
ところで、所有権留保されている物件としてよくあるのが車両です。
例えば、車両の売買契約で所有権留保がなされていても、車検証の所有者欄が留保売主の名義になっていなければ留保売主は破産管財人には対抗できません。
つまり、物件を返還を受けずに破産手続が開始されれば管財人には車両の返還を求めることはできません。
逆に車検証の所有者欄が留保売主名義になっていれば、破産管財人に対して別除権に基づいて物件の返還を求めることができます。
留保売主の債権額が物件の評価額を上回っていれば、管財人が財団の増殖を図ることは難しいので、申立時点で返却することを考えるべきでしょう。
私が最近管財人をした事件では車両(トラック)が所有権留保されていて、別除権を行使できる場合でしたが、留保売主の債権額を上回る金額で車両を購入したいという同業者からの申し入れもあったので、残代金相当額を支払って別除権の受け戻しを行い、売却をして破産財団を増殖させることができました。
物件の価値が高い場合は管財人に処理を委ねることを考えてください。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

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