初めての法人破産申立(21)

倒産事件に堪能な東京の先生方は基本的には法人破産申立事件では受任通知を出すべきでないと考えているようです。
例外的に受任通知で送付する必要があるのは、受任通知を送ることで支払不能について相手方の悪意を創出する場合が考えられるが、その場合でも全ての債権者に受任通知を送る必要があるかは慎重に検討すべきであるとの話がありました。
この悪意の創出というのは、破産申立会社が金融機関に預金を有しているとともに借入金もある場合、破産手続が開始されると金融機関は預金の払戻債務と貸付債権とを相殺することができます(破産法67条1項)が、受任通知を送ることで支払停止について悪意の状態を作り(この時点で相殺はできますが)、その後の入金について相殺禁止に該当するようにしておくことです(破産法71条1項3号)。
入金口座の変更が間に合わない場合は有効な手段です。

(注)本件は平成24年2月4日に行われた全倒ネット関東地区研修会のパネルディスカッションのポイントをパネラーの1人である石川が個人的に理解したところをまとめたものです。なお、よくある法人破産の具体的事例を前提にディスカッションが行われています。

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