自由財産拡張基準における評価-退職金・敷金

大阪地裁では、自由財産拡張の対象となる財産について詳細な評価基準を定めています(新版破産管財手続の運用と書式」70頁以下)。

退職金は、原則として、開始決定の時点における退職金支給見込額(実際には、申立て時点の支給見込額。なお、支給見込額は自己都合基準で算定)の8分の1とされています。
これは、退職金のうち4分の3が差押禁止として(民事執行法152条)本来的自由財産であることに加え、将来の懲戒解雇の可能性から、対象金支給が確実とはいえないことを考慮し、差押禁止でない4分の1をさらに50%減価して8分の1と評価しているものです(同74頁)。

もっとも、定年間近であるなど、退職金支給が確実である場合には、50%の減価は行われず、支給見込額の4分の1と評価します。

なお、差押禁止部分である4分の3部分が、いわゆる99万円枠に影響を与えることはありません。

これに対し、破産者が居住する賃借物件の敷金については、明渡し費用実額を疎明してこれを控除することもできますが、一律にみなし明渡し費用として60万円を控除することも認められています(同74頁)。通常は、60万円の控除を用いることが多いでしょう。

これは、通常60万円程度は明渡し費用がかかると考えられることによるものですから、破産者による明渡しが近々予定されているとしても、退職金の評価と異なり、みなし明渡し費用を用いることができなくなることはありません。

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