未払賃金立替払制度における事実上の倒産認定申請の際の注意点

研修会で強調している件ですが、労働者健康福祉機構からのアナウンスの中に次の点があります。

退職日から6ヶ月以内に、破産手続開始申立等が行われなければ、立替払の対象とはなりません。
立替払の対象となる労働者は、破産手続開始等の申立日(または事実上の倒産に係る労働基準監督署長への認定申請日)の6月前の日から2年の間に
当該事業場を退職した者に限られます。
(賃金の支払の確保等に関する法律施行令第3条第1項)

この点、どうしても破産申立てが遅れる場合は、従業員の方一名でよいので、労基署に駆け込んでもらい、事実上の倒産の認定申請をしてもらってください、と研修会でアナウンスしているのですが、その後のことを書いておきます。

事実上の倒産の認定申請で6か月要件はクリアするのですが、その後、ちゃんと事実上の倒産の認定を受けていただく必要があります。

事実上の倒産の認定後に破産手続開始決定があった場合には、事実上の倒産の認定申請日が基準日となりますが、事実上の倒産の認定を受ける前に、破産手続開始決定を受けると、基準日が破産申立日となるので、6か月要件を満たしていないという事態になりかねないのです。

賃金の支払の確保等に関する法律施行令第3条(『未払賃金立替払制度実務ハンドブック』233頁)は、そのような建て付けにしているようです。

もちろん、そのような事案では労基署も配慮していただけることかと思いますが、申立代理人としても、収集した財産に関する資料を労基署に提供して事実上の倒産の認定が早く出るよう協力した方がよいと思います。

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