提言倒産法改正とシンポジウム

野村さんと新宅さんも執筆に参加している「提言倒産法改正」を読んでみました。

私は、近年倒産実務で問題となっている租税債権や労働債権の代位弁済の問題について注目していることから、杉本純子先生が執筆している倒産手続におけるプライオリティー体系については興味深く読ませてもらいました。
杉本先生が、この問題のパイオニアとして今後も研究を続けて、理想的なプライオリティ体系を完成させる日を楽しみにしています。
また、実際には配当事案となることは少ないため、大きな問題にはなりませんが、私個人としてはときどき「この破産債権を一般の破産債権として処遇するのはいいのだろうか?」と疑問をいだくことがあります。
破産債権の中で劣後的に扱うべき債権があるのでは、という問題意識を持っているのですが、体系を構築できるだけの能力は私にはないので、この点も杉本先生にお願いしたいと思っています。

管財人として倒産業務に関わると担保権者との調整が一番難しいと思います。
この点については野村さんが執筆していますが、管財人の立場からはどれも頷けるものばかりです。
あと、赫先生の集合動産、将来譲渡担保の問題、堀野先生の倒産手続とリースの問題も参考になります。

債務者が自宅(住宅)を保持することを強く希望しているため、個人再生を最優先で検討する事案も多いのですが、「住宅資金特別条項」の適用に問題が生じる事案が少なくありません。
この問題については新宅さんが執筆されています。
一般化はできませんが、東京や大阪の柔軟な運用例も紹介されており、参考になります。
私は千葉で弁護士をしているので、会社更生事件や大型の民事再生事件は皆無ですが、他方で、個人の破産や個人再生事件は多く担当しているので、この「住宅資金特別条項」の見直しだけは倒産法全体の改正とは切り離して、今すぐにでもやって欲しいと強く思います。

さて、倒産法改正については東京弁護士会の倒産法部からも「倒産法改正展望」という本が出版されています。大阪の本と比べると少し高いですが、是非とも購入することをお薦めします。私も買って読んでいますが、十分元が取れるだけの価値があります。

最後になりますが、この倒産法改正のシンポジウムが3月19日(月)午後6時からクレオで行われます。私も参加するつもりですが、皆様も参加してください(申し込み不要で先着順、かつ無料!)。
特にこれから倒産事件を沢山やっていきたい(専門的に扱いたい)と考えている若い先生方にこそ是非とも参加して欲しいと思います。
時期は分かりませんが、倒産法がいずれ改正されることはほぼ間違いありません。
よく言われることですが、法律が改正されるときこそ若手がその業務に参入していくチャンスだからです。今回のシンポはあとからふりかえって、倒産法改正のスタートだったと評されることになると思われますが、その時点から改正の流れをフォローしていたことは大きなアドバンテージになるでしょう。

また、今倒産法の改正を勉強することは現行法の制定時にどのような考えで立法がなされたかを知ることになります。そして、現在の実務でどのような問題が生じているかを知ることもできますし、さらには現行法の解釈の限界も知ることができます。これらは最先端の論点が多く含まれています。

東京を筆頭に大都市では管財人等の希望者も多く、倒産事件も専門化が進んでおり、ある程度の規模の倒産事件を扱うには平均的な弁護士の倒産法の知識では、担当することが難しくなっていくと思います。
現行法(現行の倒産実務)もまだ十分に理解していないのに、改正の話なんて・・・と言っているとチャンスはなかなか来ないと思います。
次世代の倒産実務を担うであろう若い先生方にこそ積極的に最先端の議論をする場所に参加して欲しいと思っています。
では、クレオで会いましょう。

タイトルとURLをコピーしました