貸金業者の倒産 会社更生と民事再生

昨日、貸金業者NISグループ株式会社(旧株式会社ニッシン)が民事再生を申し立てました

再建型の法的倒産手続としては、会社更生と民事再生があります。
最近ですと、武富士やロプロが会社更生、アエル(平成20年。平成15年は会社更生)やクレディア、丸和商事が民事再生をとっています。

会社更生と民事再生の違いはさまざまにありますが、過払い債権者にとって重要なのは、手続きに参加しなかった過払金返還請求権の運命が異なることでしょう。

会社更生、民事再生ともに、原則として債権届出期間内に債権届を行わないと(会社更生法138条1項、139条1項、4項、民事再生法94条1項、95条1項、4項)、更生計画や再生計画にしたがって弁済を受ける権利を失ってしまいます。

武富士の会社更生事件で、当初、完済した人に開始決定の個別通知が送られていませんでした。
後に武富士は、批判を受けて方針を転換しましたが、批判を受けていたのは、完済して確実に過払金を持っている人が債権届をすることができず、過払金に基づいた弁済を受ける権利を知らないうちに失ってしまうことに対してでした。

しかし、民事再生法には自認債権の制度(民事再生法101条3項、181条1項3号)がある点で、会社更生とは事情が少し異なります。
すなわち、再生会社が知っている債権は債権者からの債権届がなくとも認否書に記載しなければならず、認否書に書かなかった場合も、債権者は失権することはありません。

つまり、過払い債権者がNISの手続に気付かず、債権届をしなかったとしても、自認債権となる過払金返還請求権が失権することはないでしょう。
NISは、自らが管理している取引履歴を計算することで、容易に過払金返還請求権の存在を知ることができるだけでなく、財産評定において貸金債権の評価額を算定するためには、当然全債権について引直し計算をすることが必要となるわけですから、過払金返還請求権は自認債権にあたると考えられるからです。

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